2023.03.06
終活・相続
暦年課税・相続時精算課税(R5年改正)
今年の税制改正で暦年課税と相続時精算課税の制度に見直しがありました。
・暦年課税
⇒毎年の贈与額に対して、基礎控除110万円を控除した後に、残額に対して塁審税率が適用される。しかし、死亡前3年以内の贈与額は贈与としてではなく相続とみなされるので、相続税の計算の基礎になるというものでした。
☆今回の改正ではこの3年以内というのが7年以内になります。ただし、この延長された4年間に受けた贈与は、総額100万円までは相続税の計算の基礎にはしません。☆
いずれにしても、もしもの相続時に相続税が高くなるのをおさえようとして、生前贈与していたとすれば、その恩恵が少なくなるということですね。
・相続時精算課税
⇒贈与する時には2500万円までは非課税で、その額を超えた分には一律20%の課税をし、その後被相続人が死亡した時に、その贈与したものを相続税の計算の基礎に入れるというものですね。もちろん、贈与時に支払った贈与税は相続税から控除されます。
☆今回の改正では①相続時精算課税で受けた贈与に関しては、上記暦年贈与の基礎控除110万円とは別の基礎控除として、110万円まで課税されない。②相続時精算課税で受けた「土地、建物」が災害により一定の被害を受けた場合は、相続時の再計算を可能とするとかわりました。
②が少し難しいかもですね。
ポイントは「相続時の再計算を可能とする」というところです。相続時の再計算というのは、一旦贈与時に計算したものを、相続の時にもう一度計算しなおすということです。改正前は計算しなおしはしませんでした。何を計算するかというと「財産の額」です。
例えば自社株などは、業績が創業時から将来に向かって良くなっていったり、会社の土地の価格が環境要因などで高くなるとそれにつれて、その価値が上がり、財産としての自社株の額が、創業したときよりも相続時の方がかなり高くなって、結果相続税がかなり高くなることが起こり得ます。
一般的にはこの自社株を早い時期に相続時精算課税制度を使って後継者に贈与しておけば、その贈与された自社株は相続時に持ち戻されて計算するときには、株価が贈与時の低い時のもので計算されるというメリットがあります。
しかし例外的に、会社の財産である「建物」が価値の高いものであったが、相続時には災害で破損し、価値が低くなってしまうと、逆に相続時には、贈与時ではなくて、相続時の価値で再計算した方が、結果相続税が低くなるというメリットがありますが、現在はできないのです。これが改正でできるようになったということですね。
保険商品はみなし相続財産であり、遺贈や法定相続の財産、また信託財産とも異なってはいますが、相続に関してはすべて一体で考えなければなりませんので今回の改正を機会に財産の棚卸、見直しをされるといいかもしれませんね。
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